お知らせ

2012-06-19 12:34:00

 

< 月刊誌 『小原流 挿花』 への過去の記載記事 >

 先日、いけばな小原流の家元?本部?から蓮の注文を頂きました。もちろん直接ではなく、大阪のお花屋さんから熊本のお花屋さんを通してですが昨年を除き10年程前から継続頂いています。水ものとしての蓮は特別なんです!。生産者からすればこのような手間のかかる花はまず手掛けないのではと思うのが本音です。日持ちしない花の代名詞のように言われ、そよ風でも傷が付き、花は気まぐれで咲き、巻き葉の採花時期は一瞬。当時は葉の選び方、水揚げの仕方、水止めの仕方で日持ちがどう変化するかで花屋さんとの研究を繰り返していました。やっと商品としての蓮が確立し、少しずつですが使っていただけるようになりました。小原流の家元といつどのようにして繋がったかは定かではありません。

 農業者になったばかりの頃、水もの専門で生産されていた福岡の巨匠の元に技術を学びに行ったのが始まりで、そのこだわり方は今でも記憶に残っています。口頭で教えるわけでもなく、技術を盗めとばかりに不自然に途中居なくなり、今のうちに見とけと言わんばかりの行動は、今思えば優しさだったのかと感じます。今は溶かしたロウで水止めせずに扱いやすい水漏れパテを使用するなど少し発展しましたがそのスピリットは受け継いでるつもりでいます。

 蓮は特別なんです。注文を頂いた時には誰が使うのですかと何時も聞くようにしています。とても経済的に成り立つ花ではありませんので、使う方の存在を意識しないととてもやれません。だから「蓮は特別なんです」。断る場合もありますから。

今回納めた蓮は『小原流 挿花 8月号』に記載されます(勝手な思い込み?)。

「瞬!れんこん」のハウスから葉を選びます。そよ風でも傷が付くのでハウス物に限ります。

 無数にある蓮の葉から目的に合ったサイズの葉を選び出します。若い葉だと日持ちせず老いた葉だとシミが付き人間で言うところの40代後半くらいの少し落ち着いた葉を選ぶのがポイントで、下のれんこんを傷つけないように慎重に作業します。切ったらすぐに水が下がるので夕暮れか雨の日にしか作業できません。巻き葉は生育が遅れている場所を重点的に探して採花します。

花はハウスの谷部より高枝切りばさみで1本ずつ探しながらの作業です。切り前に注意しながらの根気のいる作業です。

 

軽く洗浄し10本ずつ結束

 

切り口を見るとれんこんと同じように穴が開いているのがわかります。本当は空気の通る穴ですがここに水をたっぷり注入(ポンプアップ)し水が下がらないように処理し葉の隅々まで十分にいきわたらせます。葉の淵から真珠の玉みたいな水滴がこぼれてきて実に美しいがこの加減が難しい。

注入した水が逆流しないように一本ずつパテで栓をします。

巻き葉も同じように処理します。まるでジュンサイの親玉ですね。水の中に入れても撥水(ロータス効果と言い表面の細かい突起がそうさせていて工業界でも応用されている)がすごいです。

花は咲くに従って純白に近くなります。

全体を大袋で覆い、乾燥と風傷みを防ぎます。1・1・3の様式での品ぞろえで納品です。そのまま箱に入れて大阪まで送られるようです。

だから蓮は特別です。

2012-06-05 18:44:00

 昨日のアリアム丹頂の販売を最後に23年産切り花生産がすべて終了しました。お取引下さった各市場の皆様、今回も大変お世話になりありがとうございました。本年産の反省点としてはまず、①需要と供給のバランスを欠いた出荷で非常に波の激しかったこと、②大量の優品出荷がたびたびあったこと、③後半の露地物において曲がりの弱いものがあったことなど・・・いくつもの課題を残す結果となりました。これらの問題点については次年度に向け反省し改善していくつ予定です。それでも支えてくださった市場の皆様には感謝するしだいです。重ね重ねありがとうございました。

 先々週から始まっている、れんこんの出荷もここにきて急激に出荷の要望が高まってきました。当地区のれんこんは「高砂れんこん」のブランド名でJA中島を通じて全国に出荷されています。日本一の早掘りの産地としてかなりの長い歴史を誇ります。早掘りの名に負けじと、ご覧のようにまだまだ葉っぱが青い状態(通常葉が枯れかかってから十分にれんこんが肥大してからの出荷が主流)で出荷するので外も中も真っ白で、甘く柔らかくそして”シャキッ”とした食感が特徴です。人間の成長に置き換えたら丁度中学生くらいでしょうか。これをまだ暗い朝4時半より掘り取りを開始し昼には全国に向け送り出します。「高砂れんこん」よろしくお願いします。

 大量の堆肥と上質な有機肥料を施した、とろとろの柔らかい特別な圃場で栽培したれんこんを「瞬!れんこん」として販売を予定しています。ぜひ一度お試しくださいませ。今月の下旬20日~25日の出荷予定になります。

 先の農業新聞に2030年の農業従事者の平均年齢は72歳、人数は今より半減するとありました。このままでは農業者は絶滅危惧種ですね。どうしてこのような状態になってしまったのでしょうか。TPPにうわべの反対を表明していた鹿野農相。中国人スパイと繋がっていたと分かるや即辞任。このように頭の良い方はチャッカリ老後の事は考えておられるようで、単純な農家が輸出すればしっかり儲かる仕組みを考えてられた様で。真面目な農家は1年2年の赤字ですぐに生産を止める事はありません。この事が現在の食料供給の安定を生み出しているのが理解して頂きたいものです。株式会社にそれが出来るのでしょうか!。

 他人を責めるのは簡単ですがまずは自らオールを漕いで前に出ましょう。競争が少なくなる業界は逆にチャンスですよ!。夢と希望を持った方々にぜひとも加わって頂きたいものです。

これは来年のれんこんの種になるものです。れんこんだってこうやって何千年と次世代に生命を繋いでいます。農業はたかだか数十年でレッドデータブックですよ。これからどうするか、なぜこうなったかもう一度考える時期に来てます。

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