まだまだ残暑厳しく、花作りには適さない気候ですが、無理をしてでも始めないとこの世界では食っていけないのですよ。と言うことで、先ずはパンジービオラの播種から始めました。昨年より1日早い20日にしました。例年通り少量多品種の生産主義で、種まきの作業が一番気を使うし面倒な作業です。腰はフラフラ目はシュパシュパで若手2人に協力を願いました。昨年よりZAIJINオリジナルビオラとして展開している在津さんの品種群は、1粒1粒手播きでの作業となってストレスMaxの状態でした。メーカー品種を含めて、この1粒に作り手のどんな気持ちが詰まっているのかと想像すると、この作業は大変意味深く、大事な作業と思われるのです。この後、水を吸わせることで生命のスイッチをこちら側で入れたことになります。後はこの命、全力で全うさせるのが、作り手の使命となるのです。グローバリゼーション、ICTや、スマート農業やら耳障りの良い言葉がはやっています。国策としてこの方向に誘導しています。ここはコロナで一旦原点に帰り、再考の時期に来ています。危機に対しては物事は内向きに向かい、閉じた社会のアナログで面倒くさくて、ローカルな路線に立ち返りリスタートすることに。そして後は何時ものように、ピザとビールで発芽の成功と、再出発の成功を祈願しました。
これで発芽しなかったらどうしましょう。
自ら育てた、サマーオレンジミドルとタヒチスイカです。猛暑でスイカの価格が高騰の折、優越感に浸りながらおいしく食べました。
8月29日の状態ですが、猛暑のため発芽にかなりバラツキが発生しています。
ブプレの播種も始まりました。
今日の熊本市の最高気温は38℃の予想、県の南部と北部に大災害を与えた長雨から一転。猛烈な熱波が連日襲っております。地球上の生物の頂点に君臨してると思って久しい現人類たちが、現在色んな困難にあってるのは、驕り高ぶった人類への戒めに思えてならない。しかし悲しきかな、恐れ何もしなければたちまち生活に困窮するという現実で、そこにどう折り合いをつけて経済活動を続けていくのか悩みどころでもあります。自然環境に沿って気候の良いときに良い品物を生産してもお金にはならない。リスクを冒し、挑戦した者が美味しい果実を収穫するという現実社会で生きていくことの難しさを感じる。しかし、未知のウイルスにせよ、天変地異の大異変にしろ人類のみならず地球誕生後に発生した生命体が、例外なく耐え抜き進化し現在に至ったことは、今が特別な日ではないということを意味してる。コロナも人類に挑むために生まれた訳ではなく、コロナ自身も生きるにに精一杯なのである。残るにせよ淘汰されるにせよ環境の変化に対応した者のみ生き続ける。そのことを肝に銘じながらも農業はそう簡単には舵を切れないが、徐々に大きく変わっていくのだろうか。食糧生産がコロナ禍でもいかに大事かもわかった。春の切り花の暴落後も花は人間にとって無くてはならぬものと分かった。無くてはならぬものならとりあえず今まで通りに作ろう。そしてお金のためにも少しリスクを取りながら生産していこうと思う。それが今考えれる進むべき道なのか、そうではないのか分からないが進むしかない。
れんこんの収穫もお盆で終わり、アリューム類の低温処理のための選別処理を行いました。猛暑の中でしたが、強烈な送風機のお陰で、スタッフは快適そうでした。
調整後は冷蔵庫に2ヵ月ほど入庫し、順次植え付けとなります。
何時もならば、年末から続く切り花の生産で疲弊し、今の時期は「ぼーっと」蓮根の収穫作業を何も考えずに行っていました。しかしアフターコロナを見据えた時、花き産業がどのくらい回復するのかも分からず、ぼーっとしててもマズいなと思いまして蓮根の通信販売を再開させようかなと思いました。7,8年ぶりの再開となりますが、老けた私を補ってもらおうと新進気鋭の㈱Ciamo(しあも)さんとタッグを組みました。生産は木村園芸が責任を持ち、宣伝販売はCiamoさんと言うことになります。蓮根の生育過程で水を張り続けることにより、酸欠つまり還元状態になり色んな有害物質が蓮根に悪さをしてきます。それをCiamoさんの「くまレッド」という光合成細菌剤を使用することで、蓮根が健やかに生育する事が出来ました。人間は健康に育った生命力の溢れる農産品を食することで健康を維持できると思っております。以下にこの蓮根の特徴を列記致しますので一度試されて下さい。
① 大分竹田市の加工後に出る針葉樹の樹皮を用い発酵堆肥化し、窒素分の少ないバークたい肥として投入し、土壌の物理性を改善し土をフカフカにする。
② 米ぬかを投入し、微生物のえさ、遅効性のリン酸及びミネラルを補給、しばらくすると土の表層がトロトロに変化する。
③ 土の王様、秋田県八沢木地域で産出される珪酸塩白土のソフトシリカ(2.1型モンモリロナイト粘土)を投入し土を健康にし若返らせる。
④ 生育途中に2度Ciamoさんの光合成細菌剤「くまレッド」を2回ほど流し込み根圏の環境を改善しストレス減らして、素直な成長に導く。
⑤ 本来なら蓮根の節が5つ出来るまでの生育期間を持つが、当地の蓮根は生育途中の2節から3節での収穫のため、色は白く軟らかい中にもシャリ感に富みさわやかな甘みを感じます(その分劣化も早いので適切な保存が大事)。
⑥ 天然のミネラル水(地下400mからの地下水)を使用してるので、一番大事な水をミネラルと一緒に十分吸って生育している。
以上の様に細かいことをくだくだと述べましたが、一度食べてみてください。すべてはそれからです。
それと、上でも述べたように販売は㈱CIAMOさんのサイトからのみとなっておりますので、よろしくお願いします。
https://ciamomarche.official.ec/
今更ながら新型コロナウィルスによる被害を事細かに伝え、同情を買おうというつもりは有りませんが覚悟が決まった今、いや正確にはまだ完全には決まってないが現在の状況を伝えたいと思います。3月中旬以降は輸出向けがほぼ止まり、たまに1,2ケース有るか無いかに急減しました。行き場を無くしたこれらを国内に向けようにも周知のように、ほぼ全てのイベントが中止または自粛。花展やお稽古、活け込みもほぼ壊滅。結果ご覧のあり様になるのは必然です。ここに載せれない花達も同様のあり様で残念で悔しくてなりません。家庭消費用の花は3割ほど安い価格ですが、何とか買って頂いております。花を絶やすまいと、無理に注文を定期的に入れて頂いた仲卸さんや花屋さんに非常に勇気づけられたし、感謝の言葉を伝えたいと思います。しかし全産業が苦しんでる中、医療従事者や運輸関係、食糧生産の農業者などは危険な中一生懸命頑張られております。そこを考えると一年かけて育てて、一度も世に出なかった花達には無念ですが土に返すことにしました。安く買われることよりこれら花も、それを望んでいると確信しています。来年も終息してるのかどうなのか分かりません。それでも花は咲くのです。明るい未来を願ってまた種を蒔きます。この花が咲くころには、きっと違う世界が始まってることでしょう。コロナごときには負けません!
最後にFLORE21様から素敵な写真集を送って頂きました。「東京植物図譜」生花で出し切れなっかったシュベルティが、ドライに仕上がる頃にはどうなっているか分かりませんが、それでも花は咲くのです。FLORE21様、元気を頂きました。
令和二年が無事に明けました。おめでとうございます。久しぶりに快晴の穏やかな新年を迎える事が出来ました。しかし、生産者は4日の初市に向けて年明け早々に動き出しております。
昨年末にパンジービオラを中心とした直売店を終了し、現在はアリュームを中心とした切り花生産及び出荷にシフトしております。これから6ヵ月余りこの作業が続きます。「目の前の花を、パソコンの先にいるであろうお客様に届ける」この作業が延々と日々続くことになります。だからこそ直売でお客さんと直に接し、その温かさであったりその感触、または時代と共に変わる嗜好を感じながら、変化の必要性を肌で感じる。そして最後にはその方達との強固な繋がりに安心とパワーを頂きながら、これからの内にこもった作業を耐え抜くとともに希望に光を注いでくれる。いろんな事情で途絶えたお客様もたくさん居られますが。その方たちと、いつでも再開できるように席を温めておくのが、また生産者の仕事と思います。暫くはこのルーティンが続きそうです。昨年11からのブプレリュームは春まで継続出荷で、アリューム類は「スネークボール」が先行して出ております。そして今日からは「ブルーパフューム」及び「ダンシングパフューム」が加わりました。「シルバースプリング」「シュベルティ」等の中型のアリュームは今月末あたりを予定しております。
花を作れる環境に感謝しつつ、今年もよろしくお願いします。
令和二年 元日 木村園芸 木村 敏朗