経験したことのない台風が真上を通過して一週間過ぎました。ここ熊本市は、九州山脈のお陰と中心に近すぎたせいもあってか、経験したことのある台風で済みました。それでも対策は丸二日かけて行いました。「備えあれば憂いなし」パイプハウスのビニールを降ろし、片付けたり縛り付けたりし、対策後は一回目の鉢上げを急ピッチで進めました。台風接近にも関わらず、パンジービオラはお構いなく成長するのです。のろのろ台風なので暫く作業できないのを見越しての対策です。
通過後は雰囲気が一変し、季節が一ヶ月ほど進んだ感覚です。今朝、ポット上げした苗を見たら、それまでの高温続きで苦しそうだったのが噓のように輝いていました。これで完全にスイッチが入れ替わりました。さぁこれからが本番です。開花も始まりました。来月半ばの販売に向け準備を進めたいと思います。ZAIJINビオラの通販に関しては9㎝で咲かせて、10.5㎝に鉢上げ後になりますので、早くても来月末からの販売になろうかと思います。
猛暑の中でのポットへの土詰め、若い二人に感謝
台風通過後
いよいよ先週よりパンジービオラの種まきが始まりました。酷暑続きの8月ですが、アリュームの球根の調整やドライアリュームの出荷に続いての作業です。メーカー品種も安定した品質で継続生産しますが、個人育種家の在津さんの育種ビオラの数が増えてきまして、増床も考えないといけません。機械播きが基本なのですが、育種ビオラは細分化されていて大半は手播きでの作業になり、大変でございます(笑)。このゴマみたいな一粒のタネの中に、育種家の在津さんをイメージし、生産者の私をイメージし、何よりお客さんの喜ぶ姿をイメージしながら作り込んでいきます。時には厳しく、時には優しくを繰り返しながら、一人前の大人になってくれることを願っております。後40日ほどで最初の花が上がってくると思いますが、見事な大輪の花を咲かせるよう願っております。もうしばらくお待ちください。
全国的に2回目の梅雨が来たような天候となっており、線状降水帯もあちらこちらに発生している模様で、気まぐれな天候に翻弄されながらも最大限の注意を払って頂きたいと思います。写真は5月に県南の芦北で開催された「真生流土黒社中花展」のものです。築130年の近代和風建築の佇まいに植物の生命の美しさをテーマとしながら、当園のアリアム「昇龍」を使って頂きました。この歴史ある赤松館の重厚な佇まいに、昇龍の伸びやかなラインと同色のドラセナがとても良い雰囲気を醸し出しておりました。実は活け手の島崎さんとは、昇龍がデビューした10年ほど前に最初に使って頂いた記憶が蘇りました。今回もまた不思議な巡り合わせの中で当時の豪快な島崎さんの姿が懐かしく思いました。コロナ禍で大型の活け込みが減り、昨年までは苦戦続きでした。圃場破棄も行いましたが、しかしこれは仕方ないこと。今年はコロナも少し落ち着きを戻しながら、やっとこの手の花も手に取って頂けるようになりました。花は人を癒しもするけど、エネルギーや元気を与えるもの。日本はバブル崩壊後長らく低迷が続き、国力も下がって円安に傾いています。モノづくりの国だったのが、作るのを止め国外に移転してしまい、また足元が揺らいでおります。今回島崎さんに、当時のモノづくりの楽しさや夢、エネルギーを頂きました。今はモノを作るのも、市場調査やアンケート、シミュレーションやらと面倒でともすると角が取れて中途半端な物が多数。そう思うとバブル期の方が真っすぐに面白いものを、無いものを想像する力、破壊する力を追求していて、今よりもずっと正常だったと感じます。決してバブルを称賛するのではありませんが、モノづくりはエネルギー、こういうのは面白いなや、どうだと言う、気構え。やはり花は使う人がいて初めて、生産者を、市場、業界を良い方向にいう思いがしました。少しばかりバブルの雰囲気(失礼(;^ω^))が漂うエネルギッシュな島崎さん、有難うございました。
蓮根の収穫も今月で終わり、いよいよパンジービオラの準備に入ります。先ずは作付け計画からなんですが、思うように切り替わらないのが悩みです。
遊びに来られた、島原の寺尾フラワーの寺尾夫妻と福岡の花屋さん
真生流 熊本第2支部 土黒社中 の 島崎さんと一緒に
つい先日から、ここ熊本市でも20℃超えの日が続き、寒かった冬から一気に初夏の陽気になっております。植え付け時の高温に始まり、いつもより寒い冬を過ごし田と思ったら、ここに来て夏と、地球温暖化の影響なのか、ただの気候の気まぐれなのかは分かりませんが、今年は作りにくかった年ではあります。そして世の中はスタグフレーション真っただ中。原油が上がれば全てが上がると言わんばかりに、生産の為の負荷がものすごい勢いで進んでおり、早急に対策をしないと生き残れる気がしません。対策はただ一つ、労働生産性を上げるしかないのですが、自動化を進めようとしても野菜と違って、花は身体で感じて作るものと思っての経営、そう簡単にはシフトできません。中々難しい問題ではありますが、早急に対策をしないとこの業界から退場することになります。先ずは高付加価値のある物を、出し続けるのも大事なことだと思います。そう言うことで後半のアリアム類が始まります。既に「シルバースプリング」は始まっていて、「陽気なおてもやん」「シュベルティ」「ピンクジュエル」と続きます。よろしくお願いします。
九州王国、3月号に「おてもやんを探して」の特集の中に掲載していただきました。月刊九州王国編集室のM様有難うございました。
アナーセンの第14回作品展に2月に行ってきました。
今年の蓮根栽培も始まりました。
あけましておめでとうございます。晴天の穏やかな年明けを迎えました。昨年は4日の初市に向けて、元日より出荷調整作業を行い慌しかったのですが、今年は生育の遅れからそれが無く、天候と同じく穏やかなスタートを切っております。パンジービオラの販売も昨年の暮れの25日で完全に終了しました。本当に沢山の方々と出会い、助けられ、手に取ってもらえ生産者冥利に尽きます。有難うございました。ダイレクトに反応が分かる通信販売と、販売のプロの評価を伺うために主要都市の園芸店5か所に出荷してみました。試験販売なのでそう数も多くはなかったのですが、結果何とかブランドとして確立できそうな感じで、ひとまず安堵した次第です。まだまだ既存のブランド苗と比較して努力も足らないと思っており、更なる研鑽が必要だとも感じました。一輪の花が持つ発信力の凄さにその可能性を肌で感じ取りました。同時に色んな思いで花を求めておられる方々が多方面に居られ、その方の声をお聞きし、更に応えるべき花を目指さないといけないとも感じました。一輪の花にいろんな思いを託されている人の多さに驚きながら、生産者として花を作っているのか、作らされているのか、分からなくなる時が間々あります。まだまだ花作りは奥が深いし、面白いとつくづく実感致しました。作るのも真剣、運ぶのも真剣ですが、商品が届くまでに一部トラブルもありました。この場をお借りしてお詫び申し上げます。これにてパンジービオラの販売はひとまず終了し、現在は次年度に向け親株を、北九州の育種家の在津さんに届け、採種作業に入っております。来期の仕込み作業に入りました。購入していただいた方、本当にありがとうございました。そしてまた秋に再会したいと思います。
代わって切り花が作業の中心となってきました。ブプレリュームの出荷も昨年より始まっており、5日の初市に向け準備も始まります。アリアム類は曲げ作業が本格的に始まり、昨年より少し遅れて中旬より出荷開始の予定です。原油高騰の影響で暖房に使う重油も高止まりしておりますが、ここは我慢そして工夫しながら通常運転で出荷に心がけたいと思います。コロナもまだまだ予断を許しませんが、負けじと本年も突き進んでいきたいと思います。2022年もよろしくお願いします。
令和4年 元日 木村園芸 木村敏朗
宮崎のアナーセンさんにて、育種家の川越ROKAさんと一緒に
昨年も有難うございました。
切り花の風景とハウスに迷い込んだアサギマダラ