お知らせ

2011-09-25 19:03:00

よくものの例えに「何々を制する者はXXを制す」と言いますが、園芸界においては「土を制する者は園芸を制す」と言っても過言ではないと思います。特に限られている容器で栽培する鉢花においては土こそ全て、ではないでしょうか。

 

だからこそこの土の配合に関しては各生産者のトップシークレットの経営の根幹です。ゆえにおいそれと聞くものじゃないし、教えるものでもありません。昔々他産業から転職し、ひたすら農業書を読んでる中で”リービッヒの最小律”があり植物の成長速度や収量は、必要とされる栄養素のうち、与えられた量のもっとも少ないものにのみ影響されるとする説。ドイツの化学者・ユーストゥス・フォン・リービッヒが提唱した(ウィキペディアより一部引用)内容が今でも記憶にあります。

 

リービッヒの最小律を分かりやすく説明するものとして、”ドベネックの桶”が知られています。

植物の成長を桶の中に張られる水に見立て、桶を作っている板を養分・要因と見立てる。これならば、たとえ一枚の板のみがどれだけ長くとも、一番短い部分から水は溢れ出し、結局水嵩は一番短い板の高さまでとなると言う話です。

 

 若き青年は、いかにこの桶に水を一杯に貯めることが成功の近道、そしてポテンシャルの高い花を作る必須の条件と悟り、直ぐに九州各地の堆肥場や床土工場を見て回り桶の板を探し回りました。そしてソフトシリカ(珪酸塩白土/天然ゼオライト/2:1型モンモリロナイト/俗に土の王様)との出会い。さらに二価鉄を知る。取りあえず出来た桶を当時市販(量販店や園芸店)されていた全ての園芸用土(二十数種類)と比較実証試験。生育のスピード、花の数、根の張り方を、植物の寿命などを細かく観察する。

 

結果分かったのは、土の良しあしは土の価格に比例する事と世の中に桶の板に値しない素材がどれだけ混入されているかでした。どんなにいい資材だからとそれだけたくさん入れたところで、無駄なこと要は桶の縁をいかにバランスよく高いレベルで揃えるかでした。その後数回の改良を経て現在に至っています。単純に嵩を増やすのは簡単です。減らすのはもっと簡単です。土は命、生産者の名刺と言ってはオーバーかもしれませんが、それくらい大事なものです。

 

まだまだ完成だと思っていませんが、そんな土をぜひ一度使ってみてください

 

2011-09-16 05:51:00

何処の工事現場なんだろうと思わせるこの光景・・

実は昨日パンジービオラの鉢上げ作業を行いました。先ずは9㌢のポットに肥料を配合した用土を詰める作業です。花の作業は軽くて、快適、経済的(+3K)なんて誰が言ったのだろう。綺麗な花を咲かせるため、水面下でこうした地味だけど大事な作業が続きます。もう少し大きい規模になればポッティングマシーンと言う名の全自動土詰機が活躍するのでしょうが、当園のクラスだと人海戦術に頼らざるをえません。

若いAチームは、一世代前の連結ポットで、効率良く作業。

次に若いBチームは二世代前のスピードポッターで熟練の技を披露。

両チームともしだいに口数が少なくなり、危険な状態になりつつあったので予定の80%でドクターストップ!

このように手作業で「汗と愛情」と言う最高の肥しを入れて作業しました。

午前中、用土が間に合わず一部定植作業を行いました。今日からはこの作業が中心となります。こちらの方は快適そのものです。

2011-09-10 17:51:00

台風12号が通過したのを境に秋の空気に一変。朝晩の冷え込みと、カラッとした空気を敏感に察知したのか、止まっていた生育が急激に進みました。毎度の事ですが、我々農家は作物に作らされているのです。生育が停滞した時には作っている人間も停滞します。と言うわけで色んな準備を行った10日間でした。ハウスの修理に、第3回目の種まき、野菜の種まき、切り花圃場の堆肥散布等・・・

上記のパンジーは現在本葉2.5枚で、鉢上げ(9㌢)まで後一週間と言うところですか。今日より2,000倍のごく薄い液肥をかけて鉢上げに向けて勢いをつけていきます。

 

照り葉葉牡丹改めプラチナケール、明日鉢上げします。発色を良くし締めて作るため肥料を少なくした葉牡丹用に設計した用土を使います。

 

切り花の「ブブレリューム」の発芽の状態。人参と同じく発芽に極端な低温、水分バランスを要求します。この花の場合発芽したら、半分は咲いたも同然です。この状態から11月半ばの二か月チョイで1メートル以上の草丈にしていきます。

それと今月末には「スネークボール」の植えつけと色んなカテゴリーが加わる為、それぞれの生育報告として特設ページを設けたいと思います。

2011-08-31 19:09:00

 

残暑厳しい熊本は今日も猛暑日を記録しました。ハウスに展開したパンジービオラは生育するどころか、枯れないようにじっと耐え忍んでいるかのようです。高冷地などの涼しく環境の良いところだともう少しすくすくと成長するところですが、あえてこの劣悪(最大限努力はしていますが)な環境に慣れさせています。なぜならば、この花の嫁ぎ先も似たような所で育ち続けるからです。つまりは帰ってくることの無いように花嫁修行ならぬ『躾』を行っているつ・も・り・です。

なかなか言う事を聞いてくれないのですが、嫁ぎ先で喜んでいただけるように日々励んでるところです。

タイトルの言葉は先週の日本農業新聞のコラムから頂きました。臨済宗福聚寺住職であり作家の玄侑 宗久さんの言葉です。農業でも市場原理やグローバリゼーションの名のもとシステム化が進んでいます。消費者の求めているのは「有機栽培の雰囲気がする工業製品のような見栄えのいい野菜」でしかないとも言われています。何が幸せなのか考えると、売れれば売れるほど良いというのはあり得ない。なんでもほどほどを目指すべきで、程を超すからおかしくなると。そのことを自身も20年以上檀家を増やしておられないことに例え、言われていました。

適正な規模の中で最高を目指す。また顔の見える商売、喜びの交換。価値の転換期に来ているのではないのでしょうか。負け犬の遠吠えですが、堂々とした井の中の蛙も有りかなと

 

<プラチナケール ルシールワイン>

<試作プラチナケール グロッシーレッド>

 

昨日、パンジー89品種とビオラ59品種を蒔きました。第2回目の播種が一番ボリュームをつけて蒔きます。その間に葉牡丹やらストック、流行るであろうナデシコ等の一般草花を蒔きました。葉牡丹だけは猛暑のなかガンガン大きくなっています。

2011-08-18 18:54:00

昨日、今年最初のパンジー及びビオラの播種をしました。スタッフ3名に1名助っ人で参加して頂き、計4名で作業を行いました。これまで永く行っているせいかそれなりに作業分担が自然にできています。今日蒔くのはパンジー49品種、ビオラ75品種で総数量こそ少ないですが超多品種の非常に細かい作業になります。この時期高温期の育苗で草姿が乱れにくいビオラが多少多くなっています。

プララグトレイに用土を詰める中村先生。当園の場合高温時の播種の為220穴の発砲トレイを使用。水分、温度などの環境を安定させる為に、一つ一つの穴にしっかりと播種用土を指で詰めていきます。

播種計画書に基づき作成したラベルを切り離し、播種皿に入れます。初回分には初顔見せの新品種が特に多く名前を覚えるのが大変。と言うかほとんど覚えていない。

ラベルに対応する種をピッキングする山口さん。在庫の種に今季の新しい種を加えていきます。さらに播種後の在庫数量の更新と一番頭を使うセクションで、大昔銀行でお札を数えていた指先の器用な大ベテランでも終始無言の真剣対応。とても声をかけれる雰囲気じゃありません

そして私が旧式の真空播種機でプラグトレイに蒔きます。超多品種が売りの当園においてはプラグトレイに一枚なんて蒔きません。ペンの印が入っている1/2の約100粒が大体の播種単位です。こんな面倒くさいこと、他ではたぶんやらないと思います。他ではやらないからこそ当園の存在する意味が出てきますそして最終的にはお客様の満足につながります

その後覆土、鎮圧さらに底面から給水。そして大型の冷蔵庫に入れ発芽を待つ。これが一連の流れですが15年近くこの作業を行っていると自然とこの時期に蒔かなきゃと思えるようになります、これこそまさに文化と呼べるようになりました。そして種やら土やら色んな小道具に農業機械。さらに人を加え無から物を作り出していくこの作業。詳しくは表現できませんがこれこそ産業じゃないかと。椅子に座って右から左へのマネーゲームを否定するつもりはありませんが、産業が無ければこのようなマネーゲームも存在するはずもありません。原点に立ち返り「モノ造りニッポン」を再度考え直したいですねスタッフ全員泥にまみれながら、額に光る汗がチョイと素敵でしたよ。しかしここまでお客さんのことを考え商品を作る農業は第何次産業なんて考えてしまいました。