「まだまだパンジービオラに勝る品目は出てこない!」
一年は早いもので、今年もパンジービオラを作る上での最大の難所、ポットへの移植作業を迎えました。それぞれ性質の違う土を一定の比率で混合し、そこに8種類の肥料を配合する有り様は料理に言い換えるならば下味作り。地味だけど大切なこの作業は、重労働で声でお互いの安否を確認しながら淡々と進んでいきます。終わりが見通せるようになると次第に表情も明るく、来たる販売の構想の話に花が咲きます。
長年(14年目?)パンジービオラの生産を継続していて感じる事、それはまだまだ人を魅了する素材として優れている、この一点に尽きます。確かに飽きが来た人もいる事も確かでしょう。しかし気温への適合範囲が広く、連続開花性に優れ、色幅及び花びらのバリエーションを考慮すると、パンジービオラに替わる品目は当面見当たりません。
今年当園では基本の大輪品種の作付を中止しました。これは過去の「人に見せる園芸」から「自分の為の園芸」へのシフトを意味し、本来の楽しむ園芸になった事です。単一品種の大量生産は作る側としては望む所、しかしこれでは、今望むお客様への訴求力はありません。当園の目指すところ、それは人のやらない面倒な所を、これからも個性としてやっていきます。「過酷な会社勤めで、遅くまで残業し、帰ってきた時に黙って優しく迎えてくれる花々」。178色のパレットで絵を描くお客様がいる限り、当園も頑張りたいと思います。
早いものは今月末には、花を付け始めます。
ヨーロッパ辺りの冷涼な気候を好む切り花、せり科の「ブプレリューム」の第一回目の種まきを3日連続で気温日本一を更新中の熊本で行いました。正直あの手この手で、だましだまし作るのですが、播種直後に6℃の低温を与えることで強制的に発芽を促します。
区画毎に30枚、6,000強を4回に分けて播いていきます。この状況はブプレリューム生育状況で随時報告していきたいと思います。ついでに過日8日にほど近い玉名地区の大浜に研修に行った報告をしたいと思います。
現在リコピンブームで追い風が吹いているトマト栽培です。民間資本で俄然注目を集めている”トマトJr農園・玉名”でございます。ジュニアとJRを引っ掛けてあるのか、またまたミニトマトだからトマトのJrなのか良く分かりませんが控えめな字体が妙に気になります。初期投資に3億円、次年度2億円、今年7,000万の設備投資で総敷地面積が3haとさすがJR、蛇口の大きさが半端じゃありません。農場長は派遣されたJRの職員で全くの素人さんです。しかし本人の頑張りで初年度売り上げ目標の6割でしたが、年を重ねる毎に目標にだいぶ近づいてきたとの事でした。しかしトマトの大産地、玉名での民間進出で農民や業界に遠慮があるのか全量JA出荷との事で、民間の良いところが発揮できないもどかしさが看板にも出ていたようでした。期待した所はここにあったのですが、残念至極でした。今年からはさすがにJR直営のレストランに出荷するとの事でした。当たり前ですよね。
栽培システムは「ポットファーム」と言う岐阜県農業技術センターの培養液循環栽培システムで肥料の無駄のない環境に優しいシステムとの事です。農家の平均年齢が65歳を超えた今、民間資本が今後も積極的に入って来るでしょう。双方が良い影響を受けながら発展していければ面白い展開になるでしょう。このシステムも全国的にかなりの引き合いがあるとの事、今後が楽しみです。
立派なシステムと40度を超える室温とでくらくら熱中症直前です。
たったこれだけの栽培用の培地です。たったこれだけです。
スタバのコーヒーフィルターじゃありません。これに最大40回/日液肥を流すそうです。のどの渇く暇はなさそうです。
近くのJA直営の販売所で昼食を頂きました。
4枚ほど食べた後、最後に出てきた定番の「マルゲリータ」。美味しかったですけど、出るのが遅い!
誰も直売所で買わないものだから責任とって買いました。THE、750円もする高級トマトジュース「HAMATOMA」です。加工用トマトのシシリアンルージュ?にアサリエキス入りで・・・
はっきり言って類似品が多い中「う~む」ごめんなさい。デザインはいけてますけど!
と、色んな期待を込めて頑張っていきましょう!
昨日、熊本の観光名所”天草”の先の牛深地区で2日続けて全国一の最高気温を記録しました。フェーン現象と言っても半島の先の島々で疑問もあるのですが、二週間も続き猛暑で海水も沸き立ってるのでしょう。その気温摂氏39.6℃!ほど近いここ熊本市は38.5℃で、とても耐えがたい気温高が全国的に広がって今年の異常さを身に染みて感じています。
そんな中、パンジービオラの最初の播種を行いました。作業を行ったのは16日で現在は催芽室で芽を切りつつあります。そろそろ外に出さないといけないのですが出すに出せないのです。適温は20℃前後、倍近い気温の状態では出せば悲惨な状況を招くのは目に見えています。しかしこのままでも”もやし状態”になってしまい非常に難しい判断を迫られています。出せば地獄、そのままでも地獄、さあどうしましょう。1日も早く平常に戻ってくれるのを祈るばかりです。
写真は今年の播種計画書で15年近くお客様の嗜好に合わせて変更を加えてきました。まさに当園の命の書になっています。経営効率を高める為、あまり売れない品種をバッサバッサと削って行くのは本来なら至極当然のこと、しかしいざ消すとなると、その消す行に愛して頂いたお客様の顔が浮かんできて指が止まります。いや~ダメですね!。ここに儲からない最大の病巣が存在します。しかし「何のためにここで作り続けるのか!」と誰かが頭で叫ぶのです。」今年も出来る限り残しました。この効率の悪さが経営の足を引っ張るのは分かっています。しかしこういう時代だからこそ当園はそこにこだわりたいのです。こだわるから多少値段も上がるのもご理解して頂きたくとの上で2013年パンジービオラが始まりました。
最後に最近の種苗会社に苦言を一つ。
長引くでデフレで利益が取りにくくなっている現在、魅力的な品種を自社で取り囲まず、もっと生産者がワクワクするような品種を提供してください。過酷な環境で効率よく生産する為現在はF1(一代交雑種)が主流です。つまりは大手種苗会社様の手の上で生産者は踊っている状況です。ここ2、3年でガーデニングの方向も変化の兆しが見られます。最大の取引先は生産者なのか最終消費者なのかきっちり見極めて頂きたいものです。このままでは飽きられる恐れすらあります。視線はしっかり生産者を見続けてもらうことを切に願います。と言いつつも、本日まいた種と同じ「選ばれた者のみ残る」自由競争の時代ですから致し方ないのかもしれません。
品種ごとにラベルの切り離しを行います。今回は120品種はありそうです。
プラグトレイに用土を詰めます。穴の一つ一つに指を入れ隙間なく詰めます。
プラグトレイに播種穴をあけます。
この作業最大の難所。播種リストに沿って種子をピッキングします。不思議なことに毎年必ず意図しない品種が顔を出します。選ばれない種子も必死に表舞台に出たいのでしょうか。他者を押しのけて生きようとする生命の過酷な競争原理に感心します。だからあなたを責めません!
がやっぱり売れないんですよね!頼みますよYさん!
播種版に空気で吸引しながら播種します。胡麻みたいな種が最低2~3円、最高20円です。これで1,000粒ほどあります。最高級の胡麻です。
作業効率を上げるためにipodもフル稼働です。アンプは30年前の高校時代に買ったONKYOのプリメインアンプで79,800円しました。現在では考えられませんね。
ご褒美で久しぶりに濃い?ビールも頂きました^_^;
昨年に続き完了祝いはピザポケットの”ホットショット”!
これはエビとホタテ、バジルを含んだジェノバソース?とやらが相性バッチリ!で意外と美味しかったです。
以上、今年もどうにかこうにかスイッチが入りました。ますますわがままなガーデンを目指します。再来月の10月10日前後のオープンに向け頑張りますのでこうご期待!
先の選挙も、シナリオ通りの自民党圧勝で終わりました。また平和な日々にと言いたいところですが、産地は悲鳴を上げています。11日も早い梅雨明けにその後の連日35℃近くの猛暑、ここ一ヶ月に雨は降ったかな思うくらいの極少雨の状況です。それ故、れんこんの生育も前進し全国的な産地リレーもうまく繋がるどころか、競合するありさま。農産物は絶妙な出荷バランスで相場を形成しています。もうこれがメタメタで、さらに猛暑で火を使う料理を敬遠するのか八方ふさがりの状況。
これだけなら来年に向けて我慢もできるのですが、懸念する点が一つあり椎茸相場の暴落との共通の問題です。関東産の出荷がこれだけ早まった原因の一つは、昨年出荷予定のれんこんが上手くはけてなく、持ち越しの残量が多いことが上げられます。よって今年これだけ出荷が早まり競合する要因の一つになってはいないかと言うこと。ではなぜ関東産のれんこんが昨年思うように出荷出来なかったか。、あくまでも推測ですが福島第一原発による風評による、買い控え及び出荷抑制があったのではないのかと思うのです。ただの風評なんですがここ遠く九州まで影響が及ぶとしたら困ったものです。産地はいつもと変わらいことを願い繰り返しているだけなのですが、相場とはいくつもの要因が微妙に複雑に絡みあり形成していくもの。一刻も早く平時に戻るのを期待しますが、そろそろ出荷も終わりそうです。以上あくまでも憶測ですが・・・
非常に残念な年回りでした。
タイトルはこの頃WOWOWで放送があったドラマのタイトルで、社会派サスペンスとして仕上がっており、一頃賑わした社会問題’食品偽装’が中心のテーマです。BSEによる”震える牛”がある農家に発生したのを機に物語が展開され興味深く拝見させていただきました。実在した食肉加工会社を連想させ、いかにもこんな会社今でもあるだろうなとリアルに思わせるところが怖いくらいでした。牛を共食いさせ発症したBSEに、昔見た人口爆発で人を食料にする「ソイレント・グリーン」と言う映画を思い出しました。また疲弊する地方商店街にもスポットを当てていて、地域社会やエンドユーザーとの繋がりを無視した企業や生産者が己の自己利益の追求に邁進したことが、問題の根底にあることを指摘してました。
圧勝した与党、今日よりTPPの交渉も本格化しそうです。以上の問題を解決できるのは賢い消費者なんです。生産者は時代の流れに沿って規模拡大や合理化を進める場面もあります。しかし拡大し、消費者との距離が遠くなればこそ、なおさら消費者と近づく努力が求められるのではないでしょうか。どこの誰が食べるのか又使うのか知らん!これこそモラルハザード。こんな時代だからこそもっと情報発信や物を作る思いを発信していかなければと思っています。
震えるのは牛じゃなく、驕れる人間様じゃないのかと思えてきました。どうか消費者の皆様、賢い選択をお願いいたします。
アリアム「昇龍」の横浜での展示の様子の画像を頂きましたので紹介いたします。その数120本「わおっ」です。ありがとうございました。
約1ヶ月間に渡り出荷していたアリアム「昇龍」も19日(水)の販売を持ち完全に終了いたしました。最後は近畿地方にまとまった数での出荷要請でどのように使われたか興味の湧く所で、ぜひ追跡調査をしてみたいと思います。二年目の今年は今後の行く末を占う大事な年です。画像では曲げ加工の途中で折れたステムの残骸の数々で、生産上の問題もかなり残しています。しかし本当に大事なのは使ってみてどうだったのか?これに尽きると思います。最終的な作り手の目標は、誰のためにどう作り上げるか!。ここにフォーカスをしっかり絞りピントを合わせていきたいと思います。そのためにここ暫くは使った感想を少しでも多く集め、生産にフィードバックしていきたいと思います。
今年も小原流の本部より蓮の依頼がありました。もちろん地元の花屋さんを通じてですが会報誌「挿花」の掲載用みたいです。蓮は特別です。何が?
① 品質低下の速さのため日が照っている時は作業できない。
② 水揚げの手間、水下がり防止の手間
③ 出荷時の梱包の手間
④ 咲足が速いため、先の注文には答えられない
などなどの理由で、あまりおいしい仕事ではありませんが大方名誉的な作業になります。
れんこん(地下茎)と同じようにすべての部位に同じような形状の穴が開いています。ここに専用のポンプで一本ずつ水を注入していきます。
葉の淵から小さい水玉がぽっぽろと落ちる瞬間が唯一感動のポイントです。生気を失っていた葉っぱが瞬く間に復活します。その後水落防止の処置をします。
こうやって依頼数量を全て仕上げ、通常は予冷をかけます。
乾燥防止の為、全体をビニールで覆います。
今回はれんこんの依頼もあったので、傷が付かないように手作業で丁寧に掘り上げた品物も付けての納品になりました。来月の掲載に、どう使われるのか楽しみです。